血の伯爵夫人(2009)

監督 ジュリー・デルピー
出演 ジュリー・デルピー、ダニエル・ブリュール

いよいよバイオバザード新作『village』が2021年5月発売される。
発売のPRの一環として体験版『village maiden』が発表された。

村に君臨する洋館の豪華絢爛な内装と、重厚な歴史を感じさせる世界観。その華やかなさの裏顔の凄惨な地下牢獄。この体験版の主人公は牢獄に入れられた召使いの少女の様である。

この屋敷の女主人がエリザベート・パートリーをモデルにしてるとの事で『血の伯爵夫人』を観た。

彼女のアイコンである拷問器具『アイアンメーデン』にて少女を拷問するシーンなどあるが、あっさりと描かれている。凄惨な描写を求める方には物足りないだろう。

ただ、少女時代のエリザベートと恋仲になった村人の少年が城壁の陰で車裂きで処刑される描写は印象的だ。拷問や処刑が日常的な事である歴史的背景が恐ろしかった。

夫に先立たれたエリザベートは若い貴族と付き合う様になるが、男の若さと対象的にエリザベートの老いが浮き彫りになってくる。

男の父親の策略で、仲を引き裂かれる2人だがそれに気付かないエリザベートは自分の老いの為、男が去っていったと思うようになる。

やがて折檻した若い女中の血を、徐ろに頬に塗る事で若返りを実感する。

そして、エリザベートな吸血鬼伝説が始まる。
演出の味付けが薄い事が逆にリアリティある作品に仕上がっている良作であった。

エリザベートの凄惨さを表した作品は『孔雀王退魔聖伝』の方が印象的だ。こちらは古今東西の神話をアレンジした荒唐無稽なバイオレスアクション作品だが、エリザベートやジル・ド・レエの残虐性は史実を織り交ぜているので入門編としてはオススメ出来る。


(参考文献)