SHAME-シェイム-(2012)

監督 スティーヴ・マックイーン
出演 マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガン、ジェームズ・バッジ・デール

生まれながら自己受容できる環境にいた同性愛者というのは少ないのかもしれない。

抑圧してきた性的パッションと男性の本能も絡み合い、ゲイ社会・ゲイ文化は性が色濃い意味合いを持つ。

もしかしたら、異性愛の様な婚姻制度、いわばパートナーシップ制度を同性愛者の多くはは憧憬しながらも現実的には考えていないのかもしれない。

幼少期に親からの正常な愛の庇護にいないと、依存症体質になると言われる。

依存者は依存対象に没入してる時だけ、自己受容できる。だからこそ依存の対象を手放す事に苦痛が生じる。

映画『シェイム』に胸張りつけられる想いを抱く同性愛者は多いと思う。

主人公は大企業に勤めるエリートサラリーマン。

ちなみに彼は異性愛者だ。

一見すると成功をおさめたやり手のプレイボーイ。しかし強迫的な性衝動を繰り返す。

そんな彼の生活の元に妹が舞い込んでくる。彼女は兄の上司にも色目を使う恋愛依存症だった。

そして等身大の彼に好意を抱く女性の想いに向き合えず、彼女と別れた直後その場で衝動的に娼婦とSEXする。

愛と性の分離を描いた胸痛むシーンである。

ラスト。妹と慟哭する主人公。

兄妹を苦しめている過去の刻印が何だったのかの描写はない。

だが、2人の寄り添う姿は、決定的な愛の不在を物語っている。