ラ・レボリューション(2020)

原作・制作 オーレリアン・モラ
出演 アミール・エル・カセム、マリルー・オーシルー、リオネル・エルドガン

貴族の俗称を”Blue blood”というらしい。野外労働をせずに日に当たらない為、白い肌に血管が青く透き通る為という。

博識と注意力があれば、冒頭の殺戮シーンの舞台がベルサイユ宮殿であり、赤い血と青い血を流した2種類の死体が横たわっている事に気が付く。

赤い血の死体は血が凝固し黒ずんだようにも見えるが、青い血の死体は皆貴族の衣装をしている。

18世紀フランス革命前夜を独自の解釈で描いた『ラ・レボリューション』。

非常に優れたドラマだ。

貧しい農家の娘や少年が貴族によって血の生贄されたというエリザベス・バートリージル・ド・レの様な凄惨な『吸血鬼伝説』と『フランス革命』を掛け合わせたドラマである。

世界を震撼させたエプスタイン島でのアドレノクローム採取。カトリックでの青少年への性的虐待。ハリウッドエリートによる悪魔崇拝疑惑…

そういった事件が露わになった昨今において、2020年に公開された『ラ・レボリューション』の様な特権階級による『血の生贄』は決して荒唐無稽な出来事ではなく信憑性を持って伝わってくる。

点と点が結ばれて線になるように、古今東西の物語・逸話・事件が同じ事柄を示していたのなら、この『ラ・レボリューション』もあながちフィクションではないかもしれない。

そう思わせる恐ろしさがこのドラマにはある。

木は森の中に隠せ

人々に知られたくない真実を隠す事なく、御伽噺の一話として流布されたなら、人々はそれを逆に真実として現状的に認識出来ないのではないだろうか。

 

物語最後、拝謁しにきた伯爵の顔をさする獣の様な手の持ち主はルイ16世なのか?

パリに向かうレジスタンスメンバーの安否は?

仕えてきた伯爵に愚弄され処刑されかけた警察幹部の復讐劇の行末は?

バスチーユに牢獄された伯爵家の娘の覚醒は?

そして青い血の源泉を持つ女の正体は?

物語はまだ収束してはいないが、シーズン1で描いた点から、恐ろしい物語の終焉の線は見える気がする。