- 監督 曹瑞源
- 主演 范植偉 張孝全 楊祐寧
2020年5月26日、COVID-19への緊急事態解除されたが、
コロナの影響で国内外の旅行は当分できない状況である。
3月に台湾に行く予定だったが、2月末あたりから日本からの渡航がLEVEL2になり、フライト直前にLEVEL3(渡航中止勧告)に引き上げられ断念せざるを得なかった。まだ尾を引くコロナの被害だが、台湾の防疫体制は世界TOPレベルだったといえる。
台湾は親日的でもあり相互の旅行が盛んだ。自分も過去台北に5回、高雄に1回行った事がある。
自分が台湾を意識するきっかけとなったドラマがある。『孽子 Crystal Boys』である。今では日本語字幕のDVDもあり、YOUTUBEにも全話見れたりするが、
13年位前は英語字幕もないDVDしか手に入らなかった。当時1万5000円位で購入したと思う。
どうしても観たくて仕方がなかった。
1970年代、主人公の李青は母親が若い男と夜逃げをし、弟を病気で亡くしたショックで、心を寄せていた同級生へ性衝動を抑えきれなくなる。その様子を用務員に見つかり2人は退学処分となる。
友人は処分になった事で李青の元を去る。李青は元軍人の厳格な父にも責め立てられ家出をする。行き着いた先が西門近くの228和平公園であった。(※もちろん初めての台湾旅行で1番に行きたかった場所だ。)李青はそこで様々なバックグラウンドを持つ同性愛者と交流を深めていき成長していく。
このドラマが印象的なのは、同性愛というセクシャリティにクローズアップし社会・家族との確執に悩むのではなく、まず家族との繋がりがありセクシャリティを持つ個がある。
いわば
家族を主軸としてる為、原風景というべき人間ドラマが構築されている。
また前述した『藍宇 〜情熱の嵐〜』でもそうだが、中華・台湾の同性愛のドラマは日本のそれとは大きく異なる。最近ではその傾向は薄まってきた感があるが、日本は同性愛を「異質」として描く事多い。
いわば日本は
「他者目線を介在させて浮き彫りになったゲイとして立ち居振る舞う自分」と「マジョリティである異性愛者としての他者」との関係
を描くのだ。
『孽子』はゲイバッシングが今より酷い社会情勢であっても凄惨な家庭環境であっても、登場人物に自然な呼吸を感じられる。